薬剤師がボランティアとして海外で働く方法や仕事内容まとめ

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皆さま、こんにちは。
薬剤師ネット公式ナビゲーターのポールです!

薬剤師のあなたは「海外でボランティアをしてみたい!」と考えたことはありませんか?

近年、日本では海外でのボランティア活動に参加する人が増えていて、とくに発展途上国でのボランティアは人気が高いんです。

人気の理由は、現地の人と直接コミュニケーションをとるため、その国の支援に参加していることが実感でき、大きな充実感が得られること。
また、異なる文化に触れることで、人生観を変えるような人や出来事と出会える可能性があることも魅力です。

そんな、今人気の海外でのボランティア活動ですが、薬剤師として参加できる団体に以下の3つがあります。


  1. 青年海外協力隊(JICA)
  2. 国境なき医師団(MSF)
  3. ジャパンハート

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各団体によって、働く期間は様々ですが、共通して求められることがあります。
それは、「優先順位を考えつつ動く主体性」と、どんな環境にも対応できる「ストレス耐性」です。

ボランティアとして派遣される国は主に発展途上国。
そのため、人材や物資は不足しがちで、電気や水道などのインフラ(生活環境)が整っていないことも多いんです。
なので、ボランティアとして働く薬剤師には、常に「限られた条件の中で何ができるか」を自分で考え動くことや、ストレスを溜めこまないように自分でメンタル面の管理をすることが求められるんですね。

ということで、今回は薬剤師が海外でボランティアとして働く方法と、仕事内容について紹介します!

もし、「いまは休職中だけど、海外ボランティア活動をしてみようかな」「今後のキャリアのために、海外でのボランティア活動も経験してみたい」などと考えている方は、ぜひチェックしてみてくださいネ。

ボランティアとして海外で働く時の確認ポイントは、派遣期間と給与の有無

ボランティアをする時に確認しておきたいポイントは「派遣期間」「給与の有無」です。

たとえば「派遣期間」に関しては、数ヶ月~数年といった長期間になるなら仕事を辞めたり休職する必要がありますが、1~2週間ほどの短期であれば仕事をしながら休暇中に参加できます。

また、ボランティアの中には給与が支払われるものもあり、ボランティア期間中、収入が完全にゼロになってしまうのを防ぐこともできます。

ということで、「派遣期間」と「給与の有無」の2点を踏まえつつ、冒頭で紹介した3つのボランティア団体のうち、あなたに合うものはどれなのかを確認していきましょう。

1.派遣期間は2年、無償だが生活費は支給される青年海外協力隊(JICA)

「青年海外協力隊(JICA)(以下、JICA)とは、日本政府が発展途上国へ特定分野の技術者を派遣する活動のことです。
派遣する人材は、支援する国のニーズに応じて、薬剤師などの医療系以外に、土地開発の技術指導やスポーツ指導など多岐にわたります。

青年海外協力隊

JICAの海外ボランティアの特徴は、派遣期間が2年間と比較的長期にわたることです。

そのため、派遣期間中に配偶者や子供を現地へ呼び寄せる際、費用をJICAが一部負担してくれる制度や、休暇をとって一時帰国できる制度があるんです。
家族がいる方には嬉しい制度ですよね。

また、給与に関しては毎月現地で困らない程度の生活費が支給されるようになっています。


●青年海外協力隊(JICA)の募集概要

応募資格
薬剤師として3年以上の実務経験があり、日本国籍をもつ39歳までの人
派遣地域
アフリカ、中近東、中南米、アジアなどの発展途上国
派遣期間
2年
事前研修
あり(約70日間)
語学力の強化や現地での健康管理や安全管理の方法を学ぶ
給与
なし。ただし、現地で困らない程度の生活費金額(目安として、1ヵ月あたり3万4386〜8万7111円程度)が支給される
渡航費
JICAが負担
ビザ
日本政府が行なう事業のため、外務省から公用ビザが発行される

実際にどんな派遣先があるかはJICAの公式サイトで調べてみてくださいね。

2.派遣期間は半年~1年、給与の支払いがある国境なき医師団(MSF)

「国境なき医師団(Médecins Sans Frontières )(以下、MSF)とは、医療の発達していない貧しい国や地域、紛争地帯で活動する民間の支援団体のことです。

国境なき医師団

MSFの海外ボランティアの大きな特長は、ズバリ給与が支払われるという点です。
最初は月給16万6,704円ですが、参加期間が累計1年を超えると派遣されるポジションや過去の実績に応じて昇給していきます。

「海外で働いてみたいけど、収入が途絶えるのはちょっとツライ・・・」という方にとっては、現地で働きながら収入も確保できるので挑戦しやすいですね。

ただし、経費についてはすべて負担してもらえる訳ではなりません。
たとえば、現地への渡航費や就労ビザの取得にかかる費用は自己負担なので、どれくらい費用がかかるのか、参加地域ごとにきちんと確認しておきましょう。


●国境なき医師団(MSF)の募集概要

応募資格
薬剤師として2年以上の実務経験
(応募直前に2年以上のブランクがある場合は不可)
派遣地域
アフリカ、中近東、中南米、アジアなどの発展途上国
派遣期間
1ヵ月~、新人の指導などの教育業務に関わる場合は6ヵ月〜1年間
事前研修
あり(3日間)
現地で直面する課題や異文化コミュニケーションについて学ぶ
給与
月給16万6704円
(参加期間が累計1年を超えると実績に応じて昇給する)
渡航費
自己負担
ビザ
給与が支払われるので、就労ビザが必要

3.一週間の短期派遣、参加費の自己負担が必要なジャパンハート

「ジャパンハート」とは、2004年に設立された比較的新しい国際医療ボランティア団体です。
活動内容は、海外で子供の診療や手術を無償で行ったり、大規模災害時の医療対応に従事するなど、幅広く行っています。

薬剤師がボランティアとして海外で働くために求められること5つ

ジャパンハートの海外ボランティアの特徴は、派遣期間が1週間程度と短く、働きながらでも休暇を利用して参加できることです。
また、日本語と現地の言葉を話せる通訳が同行するため、語学力がなくても参加できることもポイント。

ちなみに、青年海外協力隊、国境なき医師団と違って、参加費の自己負担が必要なので覚えておきましょう。

年間を通じて海外ボランティアを募集しているので、長期連休の時に合わせるなど自分の好きなタイミングで参加できます。
参加時期によって渡航先が異なるので、ウェブサイトで実施スケジュールをチェックしてみてくださいね。


●ジャパンハートの募集概要

応募資格
国家資格をもった医療従事者
(薬剤師の場合、資格をもっていれば経験年数に関わらず応募できる)
派遣地域
ミャンマー、カンボジア、ラオス
派遣期間
3日~1週間程度の短期間
事前研修
なし
給与
なし、参加費(7万円前後)をジャパンハートへ支払う
渡航費
自己負担
ビザ
就労ビザは不要

ここまで、3つのボランティア参加方法を紹介してきました。

参加する団体によって、さまざまなスタイルでボランティアとして海外で働けることがわかったかと思います。
ぜひ、あなたの今後のライフプランや経済状況にあった方法を選んでくださいね。

次に、薬剤師がボランティアとして働く時に、どんな仕事を行うかを説明します。

海外ボランティアとして働く薬剤師の仕事は、人材育成や医薬品の管理

ボランティアとして働く薬剤師の主な仕事は、以下の3つです。


1.現地の薬局スタッフの育成
ボランティアが派遣される国は、アフリカ・中東などの発展途上国がほとんどです。
これらの国では、人材不足のため、現地の人たちに充分な医療サービスが行き届いていません。
そこで、派遣された薬剤師は現地の薬局スタッフに医薬品の管理方法などを指導して、人材育成に取り組みます。
2.医薬品や医療用品の調達と在庫管理
発展途上国では医薬品や医療用品が不足しているため、それらをヨーロッパなどから調達する必要があります。(必要に応じて、輸入するために活動地の関係省庁との交渉も行います)
また、薬をムダにしないように、しっかりと在庫管理をすることも求められます。
3.医薬品の品質管理
派遣される国は、電力供給が不安定なために、医薬品を管理する場所の気温や湿度が高すぎたり低すぎたりします。
医薬品ができるだけ劣化しないよう、品質管理をする必要があります。

※ジャパンハートのような短期派遣のボランティアの場合、日数が少ないので人材育成は行いません。
※同じボランティア団体でも派遣される国によって他の任務を行うこともあります。

ボランティアとして働く薬剤師が、具体的にどんな仕事をするのか、おわかりいただけたでしょうか。

ここで一例として、国境なき医師団に参加し「南スーダンの難民キャンプで薬局の運営や人材育成に取り組んだ薬剤師」の方の体験談を紹介します。

難民キャンプに住む約4万8000人の難民のために外来診療、入院診療、産婦人科ケア、栄養治療、心理ケアを供給するプログラムでした。

(中略)
私の仕事は、状況が頻繁に変化する中で、送られてきた医療物資を効率的、効果的に使うようマネジメントすることでした。

具体的には、期限切れの薬の管理、棚卸し、過剰在庫・不動在庫の管理、管理ソフトを用いた各部署からのデータ等の解析結果に基づく問題の提起、首都にあるMSFの倉庫への注文作成等の在庫管理、薬剤部内のミーティング、薬を保管する冷蔵庫の温度管理、新しく現地入りする海外派遣スタッフのための、薬と医療機器に関するブリーフィング等、多岐にわたります。

特に乾期は日中の気温が40度を超える厳しい環境なので、医療物資の品質を確保するために保管方法を考えたり、白アリ被害を減らす方法をロジスティシャンと共に考えたりしました。

薬剤管理を担うスタッフや薬局スタッフなどの現地スタッフは、多くが医療従事者としての免許を持っておらず、海外派遣薬剤師の重要な役割として、彼らに薬を安全に使ってもらうよう在庫管理のトレーニングをしたり、彼らに合わせた薬と医療材料の管理方法を提案したりもしていました。

このように、発展途上国は人材や環境が整っていないので、日本で経験しないような業務を担うことが多いんですね。

それでは最後に、ボランティアとして海外で働くために、薬剤師に求められるスキルについてお伝えします。

薬剤師がボランティアとして海外で働くために必要なスキル

1.主体性
派遣中は、現地では業務について丁寧に指導してくれる人がいるとはかぎりません。
人材や医療品が不足する限られた条件の中で、医療に関わるプロフェッショナルとして「何ができるのか、取り組むべき優先順位は何なのか」を常に自分で考えられる主体性が必要不可欠です。
2.ストレス耐性
海外ボランティアの多くは、紛争地域や情勢の不安定な地域に派遣されます。
厳しい状況下で活動するため、ボランティアスタッフもストレスを感じる場面が多くあります。
そのような環境の中で、自分のストレスにうまく対処していくことが求められます。
3.語学力
ボランティアとして一緒に働くスタッフには、日本人以外の人が参加していることも多くあり、仕事上では主に英語を使用することが多いでしょう。
また、派遣先によって公用語が異なるため、日頃から日本語以外の言語にも慣れておき、現地の人とスムーズにコミュニケーションをとれるようにしておく必要があります。
4.協調性
海外派遣中は、他のスタッフとボランティア活動だけでなく生活も共同で行います。
日本人以外のスタッフも多くいますので、文化や慣習の違いなどを理解し、協調性をもって働くことが求められます。
5.指導力
さきほど説明したとおり、ボランティアとして海外で働く薬剤師の大きな仕事として、人材育成が挙げられます。
現地の医療関係者や、ボランティアに参加したばかりの新人に仕事を教えることは重要なミッションです。
派遣された地域のニーズや、さまざまな制約を理解した上で教育計画を考え、指導を実行していくことが求められます。

上記の5つが、ボランティアとして海外で働くために必要になってくるスキルといえます。


いかがでしたか?

今回は、薬剤師がボランティアとして海外で働く方法や仕事内容を紹介しました。
あなたがボランティアを考えているのなら、事前に語学を勉強しておいたり、一時的な収入の減少に備えて資金を蓄えておく必要があります。

もし、「今の職場の状況では語学の勉強時間の確保や貯金は難しい・・・」という方は、転職するという手もあります。
勉強時間を確保するために、年間休日数が多い職場に転職したり、早く留学資金を貯めるため高い給与がもらえる職場に転職するのもよいでしょう。

また、ボランティア以外でも「海外で働いてみたい!」という方は、「国際薬剤師」として働くという道もあります。
以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。


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