アメリカ・ドイツなど海外で働く薬剤師「国際薬剤師」になる方法とメリット・デメリット

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※この記事は2016年11月09日に内容を一部加筆修正いたしました。

皆さま、こんにちは。
薬剤師ネット公式ナビゲーターのポールです!

薬剤師のあなたは「海外で働きたい!」と考えたことはありませんか?

グローバル化した現代では、多くの人たちが日本を飛び出して海外で働いています。
それは私たち薬剤師も例外ではなく、最近、海外で活躍する「国際薬剤師」になる人が増えているんですよ!

もし、あなたも「海外で薬剤師として働いてみたいな・・・」と思っているのであれば、日本の薬剤師と海外の薬剤師の違いを事前にチェックしておくことをオススメします。

実は、海外で薬剤師として働く場合、日本で働く場合と比べて、以下のようなメリットがあるんです。


【海外で薬剤師として働くメリット3つ】

  1. 年収が高くなる可能性がある
  2. 社会的地位が上がる
  3. 海外の進歩した薬学が学べる

海外で働く薬剤師のメリット

たとえば、アメリカの薬剤師の年収は平均で1,000万円以上であることが多く、医師のように処方箋を書くことができる権利もあります。
 
しかし一方で、医師と同じくらい社会的責任が重く、海外の進んだ医学や薬学について勉強し続けなければいけないという厳しさもあります。

ということで今回は、海外で働く薬剤師「国際薬剤師」のメリットとデメリットの紹介、および「国際薬剤師」として働く方法などをお伝えしていきマス!

「海外で薬剤師として働いてみたい」と少しでも思っている方は、ぜひチェックしてみてくださいネ。

日本の薬剤師免許だけでは国際薬剤師として働けない

冒頭でもお伝えした、「国際薬剤師」とは、海外の薬局や医療機関に勤める薬剤師のことです。

国際薬剤師

この国際薬剤師になるためには、日本の薬剤師免許を持っているだけでは不十分です。

現地の大学の薬学部に入学したり、高い語学力を身につけたりと、国や州によって異なる条件をクリアして初めて現地の薬剤師として働くことができるんですね。

まずはそんな、国際薬剤師のメリット・デメリットについてご紹介します。

国際薬剤師のメリット

先ほどもお伝えした、国際薬剤師になる大きなメリットは以下の3つです。


  1. 年収が高くなる可能性がある
  2. 社会的地位が上がる
  3. 海外の進歩した薬学が学べる

順番に説明していきます。

1.年収が高くなる可能性がある

私が過去に取り上げた記事でも紹介したように、日本の薬剤師の平均年収は「533万6,700円」となっています。

対して、アメリカとドイツの薬剤師の平均年収を挙げると以下の通りとなっています。
(2016年10月19日時点のUSD、ユーロを日本円で換算)


  • アメリカ:1,190万340円
  • ドイツ:669万42円(※月給48万2,153円、ボーナス2ヶ月分と仮定して計算)
  • 日本:533万6,700円

【参考】アメリカ労働統計局 職業雇用統計局 2012年度版


とくに、アメリカの薬剤師は日本の薬剤師の倍以上の平均年収となっています。

すべての国で日本の平均年収を超えるという訳ではありませんが、多くの先進国ではこのように薬剤師の年収は高いものになっているんですね。

その理由は、続くふたつ目のメリットである「社会的地位が高い」というところに隠されています。

2.社会的地位が高い

海外の薬剤師は日本の薬剤師よりも地位が高いといえます。

たとえば、アメリカでは病気を予防するために病院ではなく薬局に行き、薬剤師に相談するという習慣があります。

これは、アメリカでは日本と違って医療保険制度が充実していないため、病院などの医療施設で診断してもらうのに高額な医療費が必要になるためです。
しかし、薬局で薬剤師に相談するのは医療費がかからないので、多くの人は薬剤師を頼って薬局に行くんですね。

また、アメリカの薬剤師には、限定的ですが「処方権」があります。

処方箋

これは、医師から委任されて処方箋を書くことができる「依存型処方権」といわれるものです。

薬剤師にも処方箋を任せることで、医師がより患者の診療に専念することができるようにしているんですね。

処方権が一切与えられない日本の薬剤師と比べると、アメリカの薬剤師は一部医師と同じ権限をもつ頼れる存在であることから、その地位が高いといえます。

また、ドイツの薬局には、患者さん一人ひとりに対して薬剤師が担当としてつく「かかりつけ薬剤師」の制度があります。

かかりつけ薬剤師

「かかりつけ薬剤師」制度のあるドイツでは、一般の人が「病気かな?」と思ったときには病院のような医療施設ではなく、まず薬局に行き薬剤師に相談する習慣があります。

アメリカと同様、まず病院ではなく薬局を頼るという点で、医師と同じぐらい、薬剤師の地位は高いといえます。
(ちなみに、ドイツでは電車の駅に設置された地図に、必ずといっていいほど薬局の位置がわかりやすく記されています)

【Tips】日本のかかりつけ薬剤師制度について

日本でも、2016年4月からかかりつけ薬剤師制度がはじまりましたが、それはドイツのかかりつけ薬剤師制度を採用したものなんです。

かかりつけ薬剤師については、下記の記事で詳しく紹介していますので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてくださいね。

今の薬剤師の需要と将来性について

さらに、アメリカ・ドイツの薬剤師には、「ファーマシー・テクニシャン(調剤技師)」という直属の部下がつきます。

ファーマシー・テクニシャンとは、調剤や処方箋の受付などの薬事業務をする技師のことで、レジ打ちや薬棚の整理などの雑務も担当しています。

日本の薬剤師のように、上記の業務が薬剤師の仕事に含まれていないため、薬剤師は医薬品の品質試験や患者さんへの服薬指導など、より高度で専門的な業務に専念できるんですね。

このように国際薬剤師は、地域の人々の頼れる存在として、また薬の専門家として、高い地位が確立されているといえます。

3.海外の進歩した薬学が学べる

海外では、日本よりも薬学が進歩しています。

それは、先ほど説明した「アメリカの薬剤師に処方権があること」や、ドイツの「医薬分業化」「かかりつけ薬剤師制度」の発展からわかる通り、薬剤師がより専門的かつ高度な業務を行える環境があるからです。

薬剤師が薬の品質試験や副作用報告など、専門的な業務をしっかりと行うことで、国として薬学がどんどん進歩していったんですね。
なので、たとえば、病気の新薬やワクチンなどの認可は日本よりも海外の方が圧倒的に早く、すぐに患者さんに適用できたりします。

このように、国際薬剤師になると、日本では学べないような新しい薬学の知識を学べることになるんですね。

続いては、国際薬剤師のデメリットについてお話しします。

国際薬剤師のデメリット

NG

国際薬剤師のデメリットは、メリットを裏返したものといえます。


1.薬剤師に医師同等の権限があるが、そのぶん責任が重い
国際薬剤師は、医師同等の権限をもっている場合があります。
アメリカの薬剤師の場合、限定的ですが「処方権」をもっているため、薬剤の選択や投与量の決定など、患者さんを治療する薬を独断で処方できるため、その分責任が重いといえます。
2.海外の方が薬学が進歩しているため、学ぶことが多い
国際薬剤師は、日本よりも進歩した薬学を実践しています。
そのため、それらが浸透していない日本の薬剤師が海外で働こうと思うと、海外で通用する知識やスキルを身につけなければいけません。
時には、休日や業務終了後でも勉強をしなければいけないこともあるため、最新の薬学を学ぼうとする積極的な姿勢が必要になります。

もちろん、これらのデメリット以外に、患者さんや現地の人とコミュニケーションをとるために語学の勉強は必須ですし、長期に渡って働く場合は、煩雑な「就労ビザの更新」などの問題もあります。

上記のようなデメリットや問題がありますので、国際薬剤師を目指している方は事前にしっかりと把握しておきましょう。

国際薬剤師になるために必要なこと

勉強している女性

あなたが今、日本で働いている中で、国際薬剤師になるためには以下のことが必要です。


1.語学力の向上
当たり前のことですが、海外で活躍する薬剤師になるためには、現地の言葉を使えなければいけません。
たとえば、アメリカの場合、TOFELテストの各セクションで一定点数以上の語学力が求められます。
ドイツの場合は、ドイツ語認定試験B2以上の語学力が必要です。
どちらも、日本人にとっては非常に難易度が高いといえるため、語学学校に通ったり、語学留学をしたりする必要があります。
2.お金を貯める
国際薬剤師になるためには、海外の大学に入学しなければいけないため、多額のお金が必要です。
たとえば、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校の場合、学費と生活費を合わせると1年間で合計600万円もかかります。
貯金がまったくない状態だと学費や生活費がまかなえない可能性が高いため、日本にいる間に計画的にお金を貯める必要があります。

【参考】大学留学の費用|大学留学も留学なら留学ジャーナル


語学力を高めるにしろ、学校に通ったり留学する必要があることを考えれば、やはりお金を貯めるのは必須になります。

では最後に、国際薬剤師として働くために必要なものについてお話しします。

国際薬剤師として働くために必要なもの

国際薬剤師になるには、現地の大学に入学して薬剤師資格を取得する必要があります。

それぞれの国ごとに条件は違いますが、例として、アメリカとドイツで薬剤師の資格を取る方法を紹介します。


●アメリカで薬剤師資格取得に必要なもの

  1. 日本の薬剤師免許
  2. アメリカの薬剤師免許(アメリカの5年制薬学部を卒業しアメリカの薬剤師試験に合格する)
  3. 語学力:「TOFEL」の各セクションが以下の最低点数以上
    • Reading – 22
    • Listening – 21
    • Speaking – 26
    • Writing – 24
  4. 就労ビザ(特殊技能職のため「H-1Bビザ」というビザが必要)
※TOFELについては以下にあるTOFELテストセンターで受ける
米国50州、コロンビア特別区、グアム、プエルトリコ、ヴァージン諸島、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ9州(アルバータ州、ブリティッシュコロンビア州、マニトバ州、ニューブランズウィック州、ニューファンドランド・ラブラドール州、ノバスコシア州、オンタリオ州、ケベック州、サスカチュワン州)

注意点として、カリフォルニア州で取得した薬剤師免許は、フロリダやハワイでは使うことができず、それらの地で薬剤師として働けません。

また、2010年代以降、アメリカの多くの州では、薬学科が増え、薬剤師が若干飽和状態になっているともいわれています。

そのため、自分が薬剤師として働きたい州の情報を集めた上で資格取得に臨む必要があります。


●ドイツで薬剤師資格取得に必要なもの

  1. 日本の薬剤師免許
  2. ドイツの薬剤師免許:ドイツの薬学部に入学し、2年次、4年次、卒業後にそれぞれ3回国家試験を受け合格する
  3. 「ドイツ語検定試験」B2以上(日常会話レベル)の合格証明書
  4. Fachsprachenprüfung(専門用語試験)を合格(※州による)

ドイツの場合も、州によっては「4. Fachsprachenprüfung」という薬剤師の専門用語試験を合格する必要があるため、事前に働きたい州の情報を確認する必要があります。


いかがでしたか?

今回は、アメリカ・ドイツの国際薬剤師の特徴や、国際薬剤師になる方法についてお話ししました。

あなたも海外で薬剤師として働くことを考えているなら、今のうちから語学の勉強をしたり、留学の資金を貯めておく必要があります。

もし、「今の職場の状況では語学の勉強時間の確保や貯金が難しい・・・」という方は、転職するという手もあります。

勉強時間を確保するために、年間休日数が多い職場に転職したり、早く留学資金を貯めるため高い給与がもらえる職場に転職するのも良いでしょう。

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