薬剤師の受験資格取得が6年制の薬学部になって10年。今の薬剤師の需要と将来性について

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皆さま、こんにちは。
薬剤師ネット公式ナビゲーターのポールです!

薬剤師の方、そして薬剤師を目指している方はご存知かと思いますが、薬剤師の受験資格取得が「6年制」になってはや10年。

これまで、薬剤師の受験資格を取得するのには「4年制の薬学部」を卒業する必要があったのが、「6年制の薬学部」を卒業しなければいけなくなったのが2006年のことなんですね。

接客する薬剤師

・・・では、それから、10年経った2016年現在、薬剤師業界はどのように変わったのでしょうか?


  • 薬剤師の求人状況に変化はあるのか?
  • 薬剤師の仕事は変わっているのか。将来的にはどうなのか?

このように、疑問に思うことが多いかもしれません。

ということで、今回の記事ではそんな2016年現在の「薬剤師の求人の状況、そして今後の将来性について」を、2006年の制度改正を振り返りながら、お伝えしていきたいと思いマス!

薬剤師が需要がある理由

薬剤師の受験資格取得が“6年制”になった背景

まずは、薬剤師の受験資格取得が6年制になった背景についておさらいしておきましょう。
2016年現在、薬剤師になるには、“6年制の薬学部を卒業した後、薬剤師国家試験に合格する”必要があります。

実は、このように受験資格が改正されたのは、2006年のことです。
それまでは、4年制の薬学部を卒業さえすれば薬剤師の受験資格を得られたんですね。

ではそもそも、なぜ薬学部を4年制から6年制へと変更したのでしょうか?

それは、薬剤師の資格取得後、すぐに現場で働けるような「即戦力」になる薬剤師を育てるためです。

これまでは、4年制の薬学部で、“薬剤師を目指す人”“研究者を目指す人”の両方を教えていました。
しかし、そのような進路が違う両方の学生を同時に教える教育方針では、薬学に関する幅広い知識は学べるものの、薬剤師としての仕事内容を学ぶ機会は少なかったんですね。

薬剤師が6年制へと移行

そこで薬剤師の実践力をより高めるために、2006年に薬学部の改正が行われました。
薬剤師は6年制、研究者は4年制の薬学部で、それぞれの研究分野を学ぶことになったんですね。

具体的には、6年制の薬学部では、以下の3点の学習が強化されました。


1.実務学習
これまで薬局実習が2週間・病院実習は4週間だった研修をそれぞれ11週間、計22週間へ増やし、薬剤師の実務を多く経験させる。
2.医療薬学
常に進歩し続ける、薬品に関する専門的な知識をさらに身につけさせる。
(薬科学や基礎薬学など)
3.一般教養
患者さんとのやり取りを円滑にするため、薬剤師としてのコミュニケーション力を高める。

このような学習の強化により卒業後、即戦力になることを期待されて、薬学部が6年制へと移行したんです。
(※ちなみに、すでに4年制薬学部を卒業して薬剤師になった人は、6年制に移行後に新たに試験を受ける必要はありませんので、ご安心ください)

薬剤師求人ブームが過ぎた現在の薬剤師の需要は?

薬学部が6年制へと移行した4年後と5年後にあたる2010年と2011年には、4年制の薬学部を卒業した浪人生を除き、薬剤師の国家試験を受けられる卒業生がいない状態になりました。

つまり、その2年間は新人薬剤師が不足し、市場では深刻な薬剤師不足が起こったんです・・・!
そのため、2010年以降、病院や企業はこぞって薬剤師獲得を巡って競争し、求人が過熱したんですね。

薬剤師の求人ブーム

では、それから6年経った2016年現在はどうなっているんでしょうか・・・?

もし、薬剤師求人ブームの反動で、現在は薬剤師の需要が少なくなっているとすれば、「薬剤師の資格を取っても良い仕事が見つからないのでは・・・?」と不安になりますよね。

でも、ご安心ください!
2016年の薬剤師を取り巻く状況について調査したところ、次の3つのような事実が分かりました。


  1. 薬剤師の平均年収は下がっていないため、薬剤師の需要もさがっていない
  2. さまざまな職種で薬剤師が求められている
  3. 高齢化社会で薬の需要が高まり、まだまだ薬剤師が必要とされている

薬剤師が需要がある理由

上記3つの事実から、薬剤師は今でも需要がある人気の職業だということが分かります。

それぞれ、詳しく説明していきますね!

【薬剤師に需要がある理由】
1.薬剤師の平均年収は下がっていないため、薬剤師の需要もさがっていない

以前、当サイトの「薬剤師が給料(年収)アップするには?必要なスキルや転職先について」という記事でも書きましたが、薬剤師の平均年収は平成27年の調査では、「533万6,700円」です。

薬剤師求人ブームが始まる前後の年収を掲載すると、以下のようになります。

2010年~2015年の薬剤師の平均年収

  • 2015年:533万6,700円
  • 2014年:531万1,700円
  • 2013年:533万4,900円
  • 2012年:528万9,100円
  • 2011年:500万3,000円
  • 2010年:518万1,900円
  • 2009年:517万9,700円

上記のように、薬剤師求人ブームが過熱した2012年と比較しても、薬剤師の平均年収は下がっていません。

このように、平均年収が落ちておらず高いままということは、薬剤師が今も求められているということです。

企業側は、薬剤師を得るために、薬剤師にとって良い条件の求人を出しますが、「良い条件」には、福利厚生や給与の良さが含まれるんですね。

つまり、薬剤師の給与(年収)が高いということは、まだまだ需要もあるということになります。

年収が高い

ちなみに薬剤師の需要と供給については下記の記事にも詳しく書いてありますので、興味のある方は参考にしてみてくださいね。

【薬剤師に需要がある理由】
2.さまざまな職種で薬剤師が求められている

薬剤師というと、一般的に病院や薬局で求人されているというイメージが強いかもしれません。
しかし実は、その他にもさまざまな職種で求められており、例えば以下のような職種があります。


  1. スポーツファーマシスト
  2. 学校薬剤師
  3. MR
  4. 科学捜査研究所(科捜研)

それぞれの仕事について、詳しく説明していきますね。

1.スポーツファーマシスト

「スポーツファーマシスト」とは、主にスポーツ選手の「意図しないドーピング」を防止する仕事です。
(ドーピングとは、競技能力を高めるために薬物を使用すること)

スポーツファーマシスト

実は、禁止されている薬物の中には市販薬やサプリメントなど、市場に出回っている薬品の中にも含まれているんです。
もし、故意に摂取しなかった場合でも、ドーピングとみなされて試合の出場停止処分になる場合があるんですね。

そこで選手を守るために、スポーツファーマシストが薬に関するアドバイスや「医薬品に禁止物質が含まれているか」などを管理するおかげで、選手たちは安心して練習や試合を行えるんですね。

そういえば、つい最近リオオリンピックが終わりましたが、実は、その裏でもスポーツファーマシストが活躍していたんです。
次の2020年の東京オリンピックはもちろん、今後もあらゆるスポーツ大会で必要とされる存在といえますね。

2.学校薬剤師

「学校薬剤師」とは、大学を除くすべての学校において、校内の環境衛生を管理する仕事をしています。
(学校薬剤師は学校に常駐しているのではなく、普段は調剤薬局などの学校外のところで働きつつ、副業のような形で働きます)

学校薬剤師

環境衛生の管理の仕事とは、具体的には以下のようなものが挙げられます。


  • 教室内の温度や湿度、明るさが適切かを検査する
  • 勉強を妨害するような騒音が発生していないかを調査する
  • 給食施設の衛生チェックする
  • プールの水質検査
  • 理科室や保健室に置かれている医薬品の管理

このように、学校薬剤師は学校内の衛生面を整え、学生が勉強に集中できる環境を作っているんですね。
学校薬剤師は、学生にとってはあまり会うことはない職種の人かもしれませんが、実は学校にとってなくてはならない存在なんです。

3.MR

「MR」とは、「メディカル・リプレゼンタティブ(Medical Representative)」の略称で、製薬会社の営業のことです。

MR

営業ということで、MRの仕事は薬剤師の資格がなくてもできますが、薬の販売促進をする仕事のため、薬の知識を豊富にもっている薬剤師は重宝されます。

4.科学捜査研究所(科捜研)

「科学捜査研究所(科捜研)」とは、事件や事故の真相究明のために研究をしている警察本部の研究機関のことです。

よく刑事ドラマで事件解決のために調査をしている研究者が出てくることがありますが、あの研究者たちこそ、科学捜査研究所のメンバーなんです!

科捜研

科学捜査研究所では、以下のように「法医学」「科学」というふたつの分野にわかれており、それぞれ違う分野の研究をしています。


  • 法医学:現場にある残留品(指紋、毛髪、体液など)からDNA鑑定を行い、犯人を特定する
  • 科学:犯人や被害者の血液から、薬物、アルコール反応があるか調べる

このように科学捜査研究所の薬剤師は、薬剤師としては異色の仕事をしていますが、世の中の事件の真相を究明するために必要とされる職種なんです。

【薬剤師に需要がある理由】
3.高齢化社会で薬の需要が高まり、まだまだ薬剤師が必要とされている

日本の高齢化社会は、今後さらに進んでいくと予想されており、薬剤師は今以上に欠かせない存在になるといわれています。

内閣府が発表した「高齢化の現状と将来像」によると、2015年時点の日本の人口は、約4人に1人が65歳以上となっています。
それが、2035年には約3人に1人になると予想されています。

高齢化社会

高齢者は若者に比べ、身体機能が低下しているので病気になりやすく、薬を服用する機会が多いものです。
しかも、服用する薬の種類が増えれば増えるほど、薬の飲み過ぎや飲み忘れなどの問題が生じやすくなります。

そのため、薬の専門家である薬剤師が今以上に必要とされることは間違いありません。

そんな高齢化社会に向けて、薬剤師業界では、下のような新たな役割をもった薬剤師が誕生しています。

  1. 在宅薬剤師
  2. かかりつけ薬剤師

1.在宅薬剤師

「在宅薬剤師」とは、自宅で医療を受ける高齢者に対し、薬の服用指導をしたり、健康相談に応じたりする薬剤師のことです。

在宅薬剤師

今後、高齢者が増えるにつれて、病院ではなく在宅で医療を受ける患者さんも多くなるといわれているので、在宅薬剤師のニーズは今以上に高まると予想されています。

2.かかりつけ薬剤師

2016年4月には、新たに「かかりつけ薬剤師」という制度がスタートしました。

かかりつけ薬剤師

「かかりつけ薬剤師」とは、1人の患者を1人の薬剤師が担当する制度のこと。
患者が服用するすべての薬を管理するだけでなく、体調や食事、健康面の悩み相談にものる、文字通り、患者さんにとっての「かかりつけの薬剤師」になるわけですね。

実は、2025年までには、すべての薬局が、かかりつけ薬剤師が在籍する「かかりつけ薬局」に再編される予定なので、今後、薬剤師の需要はさらに増えていくと予想されています。


いかがでしたか?

今回は、2006年の制度改正を振り返りながら2016年現在の薬剤師の求人の状況、そして今後の将来性についてお話ししました。

この記事でお伝えしたとおり、薬剤師の需要は将来的にどんどん増えてくことが予想されます。
薬剤師が働く場所も増え、薬剤師という職業の人気も高まっていくことでしょう。

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