第12話 衝撃!19世紀以前に麻酔は無かった!?麻酔薬誕生の歴史と真実

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ふっふっふ・・・。
私の名はゲーテ。

「現代に蘇りし、医学界の救世主」と呼んでくれたまえ。

私は今「メディカル・エデン」という計画を進めている。

世界各国から、ファーマシストエナジーの高い薬剤師を集め、最先端医療を我が国に一極集中させる。

そして、選ばれし患者のみに医療を提供する。
その楽園を今、つくっておるのだ。

多くの患者にとって、高度医療は今や当たり前のものとなっている。
そして、一部では、“モンスターペイシェント”と呼ばれる「無理難題を言う患者」も現れておるそうではないか。

モンスターペイシェントとは、「病院の待ち時間が長い。自分を先に診察しろ」「診察なんて要らないから薬だけ渡してくれ」、そのような態度をとるも、結果、自分の体調が望むように回復しなかったとき、その不満を理不尽に主張する患者のことだ。

なぜこのような患者が生まれてしまうのか。
それはひとえに、「高度医療を受けられる現代」のありがたみを感じていないからだ。

私が恋人のシャルロッテと過ごしていた18~19世紀。
この世に「麻酔薬」などというものは無かった。

当然、病を予防するための「予防ワクチン」などもなかった。

麻酔薬の無い時代に生まれた私は、愛する人が病の床でその痛みに叫ぶ姿を幾度も見続けてきた。

現代にも、苦い薬、辛い治療、怖い手術はまだまだある。
しかし、当時に比べ、苦痛を伴う治療の量は減ってきておる。

私たちは今一度、医学のありがたみを感じなければならぬ。

今回は、この私が、そなたたちに「薬と治療」の歴史を話そうではないか。
その恐ろしい歴史を知れば、今の医学がどれほど恵まれているかを知ることができるだろう。

ふっふっふ・・・。

頭に木のボウルをかぶって、木槌で強く叩く。それが当時の「麻酔」だった。

木槌

当時、私の恋人のシャルロッテは病を患っていた。
その病を治療すべく、私はある医師を訪ねたが、その医師はこう言った。

「頭に木のボウルをかぶってください」

頭にボウルを被ったシャルロッテは、その上から木槌で強く叩かれた。

その医師は、ボウルの上から頭を叩けば、シャルロッテの意識が落ちて、麻酔状態になるとでも思ったのだろう。


——18世紀末。

今では信じられないかもしれないが、当時の医師たちは、下記の「5箇条」に従い、外科手術を行っていた。

それは

  1. 悲鳴が他の患者の耳まで届かない場所に手術室を設ける
  2. 患者をしっかり縛り付ける
  3. 患者に外科医のステッキを噛ませる
  4. 急いで手術を済ませる
  5. 外科医の疲労に最大限の配慮を払う

というものだった。

そして、外科医は、屈強かつ腕の立つ男である必要があった。

 病床の男

当時、外科手術に麻酔はなく、手術を受けるものは、想像を絶する苦しみに耐えなければならなかった。

「笑気ガスを吸えば少しはマシになったのでは?」だと?
・・・ふっ、笑止。笑気ガスが生まれたのは19世紀になってからだ。

当時はガスを吸うという概念も無かったのだ!

マンドラゴラの根を大地から引き抜くと、マンドラゴラが大声で叫ぶ!麻痺と狂気に覆われていた医療業界。

薬草の効能はその「植物の姿」に現れる

その昔、薬剤師たちは「形態理論」に縛られていた。
薬草の効能はその「植物の姿」に現れると考えていたからである。

例えば、ある薬草の形が人体に似ていれば、その似ている部分を使えば対象の部位を治癒できるとされていたのだ。

有名な例ではマンドラゴラ(マンドレイク)の例がある。

裸の”こびと”のような形をしたマンドラゴラの根は、大地から引き抜く時に大声を上げると信じられていた。
マンドラゴラの根には麻痺と狂気を引き起こす力があったため、実際に媚薬に用いられていたが、中には効果のない薬草も多くあった。

当時の薬剤師たちの多くが、この「形態理論」に縛られていたのだが、この理論に対抗し、薬の効果を科学的に立証しようとする研究する者は現れなかった。

そのため、医学の暗黒時代はずっと続いていた・・・。


当時の医師が調合する薬の中には、「実際に効くもの」もあった。
しかし、大部分は何の効き目もないものだった。
裕福な富豪たちは「薬売り」のターゲットとなっており、彼らは薬売りが宣伝する薬の効き目を信じ、高額な薬代を意味なく払い続けた。

暴利を得た薬売りたちは宣伝をヒートアップさせる。新聞にも広告を載せるようになった。
その広告文の多くは「あなたは~~~病にかかっているかもしれない」という、心理的不安を煽るものが多く、彼らは人を不安にさせる広告手法をどんどん用いた。
なぜなら、「薬は、つくればつくるほど売れる時代」だったからだ。

その結果、実際は病気でないのに自分は病気だと心配する人(すなわち心気症の患者)が急増し、やがて心気症はイギリス中を覆い、なんとヴィクトリア女王までもが心気症になった。

避けようのない滅びも嘆きも覆せばいい。<br />
暗黒時代を切り開いた者たち。

フリードリヒ・ゼルトゥルナー

しかし、19世紀に入り、その暗黒時代を切り開こうとする者たちが現れた。

生物学の世界に「形態共鳴」という言葉がある。
この言葉は「ある人が何かを思いつく時、世界中で同時に3人の人が思い付く」という例えに使われることがある。

19世紀初頭の1803年~1804年。
まさに、この形態共鳴が医学界で起きた。

最初に立ちあがったのは、ドイツ人の薬剤師「フリードリッヒ・ゼルチュルネ」だった。

当時有効とされていた薬を扱っていた彼は、ふと考えた。

「この薬はなぜ効くのだろう?
薬の有効成分を徹底的に分析した方が良いのでは?」と。

彼は有効成分の研究を開始し、やがてアヘンの有効成分を「モルヒネ」と名付ける。
その後、彼の研究をきっかけに、アドレナリン(強心剤)、カフェイン(強壮剤)、コカイン(局所麻酔剤)、コデイン(鎮静剤・鎮痛剤)、エフェドリンなどなど、モルヒネと関連のある多くの有効成分が分離されていった。

彼以外にも、多くの医学関係者が薬草の有効成分の研究を始めるようになった。

ある者は自分の目を実験台にし、様々な薬品を目に垂らした。
彼の実験は点眼薬を生み出すきっかけとなった。

そしてある者は、感染症にかかった患者の血を抜き、自分の身体に取り入れた。
感染者の血液を自らの体に取り入れることで、自分の身体に起きる変化を記録・研究したのである。


華岡青州

同じ頃、日本ではある外科医が「麻酔薬」の研究を行っていた。

その外科医の名は「華岡青州」
世界で初めて全身麻酔を用いた手術(乳癌手術)を成功させた男である。

「手術での患者の苦しみを和らげたい」。その一心で麻酔薬の開発を始める青州。

痛みのコントロールに漢方医学が効くと考えていた彼は、研究を重ねた結果、曼陀羅華(まんだらげ)の実、チョウセンアサガオ、草烏頭(そううず)、トリカブトを主成分とした6種類の薬草に麻酔効果があることを発見する。

やがて彼は、それら植物エキスを調合した麻酔薬をつくり、動物実験を重ね、麻酔薬のプロトタイプを作り上げる。

しかし、完成まであと一歩のところで躊躇した。
なぜなら、「人体実験」が必要だったからである。

どんな薬も、動物実験だけでなく、最後は人体で試さなければならない。
その人体実験の被験者に名乗りを挙げたのは、なんと、彼の実母・於継と妻・加恵だった。

青州の思いを叶えるため、自ら実験台になることを申し出た二人だったが、数回にわたる人体実験の末、実母である於継は死んでしまう。
そして、妻である加恵も、薬の副作用により失明する。

しかし、その大きな犠牲を越え、1804年、青州はついに全身麻酔薬「通仙散」(別名、麻沸散-まふつさん)を完成させる。
そして、全身麻酔を用いた手術(乳癌手術)を成功させたのだった。


手術

お分かりだろうか?
今の我々に投与される、麻酔薬をはじめとした様々な薬には、多くの人たちの命の重みが乗っているのだ。

これは後日譚ではあるが、実は当時、この青州の全身麻酔技術が海外に知れ渡ることはなかった。
なぜなら、日本は鎖国していたからだ。

青州の元へは、全身麻酔手術の成功後、手術を希望する患者や入門を希望する者が殺到するが、それは日本だけの話だった。

日本の鎖国のせいで、世界の医学の発展に貢献できなかったことは、悲劇としか言いようがない。

やがて、海外で笑気ガス、エタノール、クロロホルムが発見されるのだが、それは19世紀中頃から。
青州の全身麻酔薬が生まれてから、なんと、40年以上も後のことだった。


もし、私が生きていた時代、現代の医学水準があれば・・・。

・・・私の愛するシャルロッテは、きっと死ぬことはなかった・・・。

あの悔恨が、私をこの現代に呼び起こしたのだ!!

我の名はゲーテ。
「現代に蘇りし、医学界の救世主」。

この世からモンスターペイシェントを無くし、現代医学の価値を最適化する。
それが私のメディカル・エデン計画。

そのためにも、世界中の薬剤師が持つファーマシストエナジーが必要なのだ!

膨大なファーマシストエナジーを保有する日本の薬剤師、藤本マキよ。
そなたの力では、悔恨の因果律で生きる私を止めることはできぬ。

お前の医療に対する想いが勝つか、私の想いが勝つか、決戦の時は近いようだな。

そなたが私の元を訪れるのを楽しみに待っておる。

フッフッフ・・・。ハーッハーッハッハ!!!ハーッハーッハッハ!!!

ゴゴゴゴ


※本ノベルはフィクションであり、実在の人物・団体との関係はございません。

●参考文献
世にも奇妙な人体実験の歴史(トレヴァー・ノートン 著、赤根 洋子 翻訳)


マキの祖母の故郷に辿りついた一行。
だが、その場所にも、ゲーテの魔の手は伸びていた!

果たして、マキの祖母は無事なのか!?
そして、連れ去られた中村の運命は・・・!?

世界の医療を救うための最終決戦へ向け、ストーリーが動き出す!!

次回、薬剤師マキの調剤なる日々。

「避けようのない滅びも嘆きも、
全て君が覆せばいい」

この次もポーカンポーカン♪

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